京都大学2014年〔整数問題(約数と倍数)〕

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計算力(1.0)
総合難易度(2.5)
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問題〔京都大学2014年〕

自然数 \(\displaystyle a, b\) はどちらも 3 で割り切れないが, \(\displaystyle a^{3}+b^{3}\) は 81 で割り切れる.このような \(\displaystyle a, b\) の組のうち,  \(\displaystyle a^{2}+b^{2}\)の値を最小にするものと, そのときの \(\displaystyle a^{2}+b^{2}\)の値を求めよ.

POINT

この問題でてくる式は 2 つの式は対称式です.

\(\displaystyle a, b\)  

\(\displaystyle a^{3}+b^{3}\)

ですので, 基本対称式である

\(\displaystyle a+b,  ab\)

に注目していきます.そのときに,

「\(\displaystyle a^{3}+b^{3}\) は 81 で割り切れる」ので

「\(\displaystyle a^{3}+b^{3}=(a+b)^{3}-3ab(a+b)\)も81で割り切れる,

すなわち 81 の倍数です.

よって \(\displaystyle a^{3}+b^{3}\)の

右辺\(\displaystyle (a+b)^{3}-3ab(a+b)\)も 81 の倍数

すなわち3の倍数であり

\(\displaystyle (a+b)\)は3の倍数となります.

しかし, ここで一つ注意しなければならないことは,

もう1つの基本対称式\(\displaystyle ab\) は3の倍数かどうか不明です.

これらを意識して, 解答を作っていきます.

【解答】

\(\displaystyle a^{3}+b^{3}=(a+b)^{3}-3ab(a+b)\)

は 81 の倍数より3の倍数である.

すなわち右辺に注目して

\(\displaystyle (a+b)\)も3の倍数であるので

\(\displaystyle (a+b)=3k\) (\(\displaystyle k\):整数)とおく.

\(\displaystyle a^{3}+b^{3}=(a+b)^{3}-3ab(a+b)\)

\(\displaystyle =(3k)^{3}-3ab(3k)\)

\(\displaystyle =9k(3k^{2}-ab)\)・・・①

いま\(\displaystyle a, b\) は 3 の倍数でないので

\(\displaystyle (3k^{2}-ab)\) は 3 の倍数でない.

よって, \(\displaystyle a^{3}+b^{3}\) が 81 の倍数になるためには

①より\(\displaystyle k\) は 9 の倍数である

すなわち

\(\displaystyle (a+b)=3k\)より

\(\displaystyle (a+b)\) は 27の倍数

ここで\(\displaystyle (a+b)=l\)とおく(\(\displaystyle l\) : 固定) 

\(\displaystyle a^{2}+b^{2}\)

\(\displaystyle =a^{2}+(l-a)^{2}\)

\(\displaystyle =2a^{2}-2al+l^{2}\)

\(\displaystyle =2(a-\frac{l}{2})^{2}+\frac{l^{2}}{2}\)

よって\(\displaystyle a=\frac{l}{2}\) で最小値をとる.

\(\displaystyle a\) が\(\displaystyle \frac{l}{2}\) に近いほど \(\displaystyle a^{2}+b^{2}\) は小さくなるということです.

よって\(\displaystyle l=27\) のとき

自然数\(\displaystyle a=13\) もしくは\(\displaystyle 14\)

このとき

\(\displaystyle (a, b)=(13, 14), (14, 13)\) となり

\(\displaystyle a^{2}+b^{2}=365\)

これで答えは365と断定したいところですが,
\(\displaystyle lが27\) より大きいときは最小値にならないことを記しましょう.

また \(\displaystyle l≧27・2\) のとき

\(\displaystyle a^{2}+b^{2}\)

\(\displaystyle =2(a-\frac{l}{2})^{2}+\frac{l^{2}}{2}\)

\(\displaystyle ≧\frac{l^{2}}{2}≧\frac{(27・2)^{2}}{2}\)

\(\displaystyle =\frac{729}{2}>365\)

つまり, \(\displaystyle a^{2}+b^{2}\) は最小値にならない.

よって

\(\displaystyle (a, b)=(13, 14), (14, 13)\) のとき

\(\displaystyle a^{2}+b^{2}\) の最小値 \(\displaystyle 365\) ■

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この記事を書いた人

数学講師10年以上。大学入試、高校数学問題の「練習」によければつかってください!記事中の間違え、計算ミスやわかりにくい所はお問い合わせからご指摘いただければ幸いです。お気軽にご連絡ください。

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